前の記事では、Synology NASへのマルチパス接続を行ってみました。iSCSIは、TCP/IP を使用して SCSI コマンドを転送するプロトコルで、ネットワーク経由でブロック デバイスを使用できるようにします。vSphere 6.5からVMkernelごとにゲートウェイ設定が可能なため、L3でのiSCSI接続を行うことができます。今回はL3でのiSCSI接続を試してみようと思います。
通常のiSCSIのベストプラクティスでは、遅延の影響とセキュリティ上の懸念から、iSCSI トラフィックを一般的なトラフィックから分離するために、L2を利用するのが一般的です。そのため、vSphereの動作を確認するための、実験的な位置づけですので、あまり実用的はありません。
構成
ネットワーク設定
SynologyのネットワークとiSCSI LUNの設定
- L3で接続できるように、SynologyのインターフェイスにESXiのiSCSIのVMkernelとは異なるVLANを設定します。
- ルーターの仕様でジャンボフレームは利用できないため、インターフェイスのジャンボフレームは外しておきます。
- iSCSI用のLUNを作成します。
- iSCSIのTargetを作成します。
- thickで作成してみます。
- thickで作成すると、LUNと同じサイズでTargetを作成するとディスク使用率アラートが出るため、LUNよりある程度下回るサイズを指定します。
- 今回はマルチパスを利用しないため、iSCSI Target でマルチセッション サポートは無効にします。
ESXiのネットワーク設定
- vSwtich0にiSCSI用のVMkernelを作成します。
- Synologyのインターフェイスとは異なるVLANを設定します。
- SCSI用のVMkernelのIPアドレスを指定する際に、このアダプタのデフォルト ゲートウェイをオーバーライドをクリックし、ルーターに追加したゲートウェイを指定します。
ESXiのストレージ設定
- ESXiのストレージアダプタ>ソフトウェアアダプタの追加をクリックします。
- 動的検出に、Synologyのインターフェイスを設定します。
- ストレージの再スキャンをクリックし、静的検出にiSCSIサーバーとターゲット名が表示されることを確認します。
- 今回はマルチパスを利用しないため、パスをクリックし、パスが1本表示されていることを確認します。
パフォーマンスの確認
- Windows Server 2019に追加したSynologyのデータストアのディスクを追加します。
- Windows Server 2019にCrystalDiskMarkをインストールし、ストレージの性能を測定してみます。
- シーケンシャルリードで1MiBのブロックサイズで19.290 MB/s、ランダムリードで4KiBのブロックサイズで12.965 MB/s、出ていました。
- ルーターの仕様でジャンボフレームが出来ず、ルーター経由となったため性能は出ませんでしたが、L3でのiSCSI接続が出来ることが確認できました。